あなたにそっと恋をした
「なに、伊吹と喧嘩でもした?」
「お兄ちゃんと違って、伊吹くんは優しいんだから喧嘩なんてしないし!」
ふーん、と言ってお兄ちゃんが次に続けた言葉にあたしは驚いた。
「お前、伊吹のこと好きなの?」
――――――…え?
「なんで、そう、なるの」
「ほら動揺してる」
「してないし!」
「用がないなら早く出てってよ!」
「希衣から呼び止めたくせにな〜」
そう言ってお兄ちゃんは笑いながら出てった。