【完】好きって言ったら、




「……桐生くん」



小さな、小さな声は、



きっとあなたには届かない———。










そして放課後、



「き、き、桐生くん!」



半ば、桐生くんのことを試すようなことをしてるわたしは名前を呼ぶことにも躊躇してしまう。



何しろ、今日初会話が今なもので。



緊張してるんですよ、わたしは。




「なに?」



相変わらず冷たい声で無表情。




「あのね、今日も一緒に帰れないの」



少しは、残念な顔…………



「それだけ?」



……してるわけない。



冷たくわたしを見下ろす桐生くんの顔に、寂しいなんてことは書いてはない。



ただいつものように、無表情——。


その言葉が一番に合う顔だった。




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