【完】好きって言ったら、
「桐生くん」
帰れないと言ったのはわたしだけど、やっぱり話せないのは寂しいと思い、もう少し話したいという意味も込めて桐生くんの名前を呼んだ。
もちろん彼は無視だ。
「き……」
「うざい。どっか行って」
「っ」
もう一度名前を呼ぼうとしたわたしの声をかき消すように、桐生くんの低くて冷たい声がわたしの耳に届いた。
「早くどっか行けよ」
「ご、ごめん……っ」
違った。ダメだったんだ。
桐生くんに好かれてる自信なんて最初から願っちゃダメだった。
ただそばに居られるだけでよかったのに。
一緒にいれるたびもっともっとって欲張った。
それがダメだった。
———完全に嫌われた。
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