【完】好きって言ったら、
「待ってよ!桐生くん……」
思わず桐生くんの腕を掴んだら、パシッと振り払われた。
「うざい。触んな」
「や、やだ……」
もう一度、ギュッと桐生くんの袖を掴む。
2回目は振り払われなかった。
「そいつのこと大好きなら、いいじゃん。俺じゃなくても」
「違う……よ。羚くんは好きだけど、それは友達に対しての好きで、わたしが好きなのは桐生くんだよ」
「ちっ」
し、舌打ち!?
「めんどくさ」
……う、すいません。
やっぱりさっきまでの桐生くんは幻だったんだよ。
わたしのいい妄想?みたいな。
なんかそれはそれで寂しい気もするけど。