【完】好きって言ったら、
「わたし、桐生くんのこと無理させてる……?」
「……」
なんで泣きそうな華を見ても、俺は何も言えないんだろう。
言いたいことはたくさんあるのに。
俺の勝手なプライドが邪魔をする。
「ごめんね、桐生くん」
なんで俺が謝られてんの。
違うだろ、謝るのは俺なのに。
俺が大切なこと言わないから。
だからダメなのに……。
「無理なんてしてねーよ」
さよなら、俺のイメージ。
さよなら、俺のプライド。
「ここに来たのはお前が旨そうにケーキ食べるところを見たかったから来た。別に楽しんでねーわけじゃねーし、むしろ楽しんでるっつーか」
「え……」
「とにかく嫌じゃねーから。お前といることも、こういう所くることも。だから、変な心配せずにわがまま言ってりゃいいんだよ」
華の涙を見ると、いつもより饒舌になるらしい。
「えへへ、ありがとう。桐生くん」
この笑顔にやられたことは、もう言うまでもないだろう。
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