【完】好きって言ったら、
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☆
「わー、すっかり暗くなってる!」
12月間近の今日。
まだ6時すぎだっていうのに暗くなってる。
「華、手繋ぐか」
「……」
え、まさかの無視?
聞こえてなかったとか?
嘘だろ。俺のこの頑張りを華は………
「ずるいよ、桐生くん。いつも絶対言ってくれないのに。だからわたし、桐生くんは手繋ぐの嫌なのかと思ってて、毎回断られたらどうしようって心配してたのに……。いきなり言うなんて卑怯だよ」
「好きだよ、華が心配そうに繋いでもいいか聞くことも、華の小さい手も……」
「っ」
なんで俺、気付かなかったんだろう。
少し素直になるだけで、こんなにも華は嬉しそうに笑ってくれることを。
もっと早く、自分の変なプライド捨てて、たくさんたくさん言ってやればよかった。
「華が好き」
そしたら華はボカっと俺の胸を叩いて
「変だよ、桐生くんっ!」
顔を真っ赤にしながら怒るんだ———。