クール男子の取扱説明書〈続+続々編〉
「のっちさー、どっか行きたいところある?」
「ううん。特には……」
……やってしまった。
行きたいとこある?なんてこれは野村くんの優しさなのに、特にはなんて……困らせちゃった。
「そっか!じゃあ、デートの定番!遊園地でも行きますか」
野村くんは笑いながらそう言った。
「はい」
「え?」
私より少し前を歩く野村くんが手を差し出してきた。
「こういうこと。のっち、小さいし、見失っちゃう」
野村くんは、私の手を握ると歩き出した。
私も慌てて野村くんについていく。
だめ。握られた手だけじゃなくて全身が熱い。
「ち、小さいは余計だよっ!」
「そう?」
野村くんはゲラゲラ笑ってて余裕そうだ。
私ばかりドキドキしてる?