俺を求めろよ。




「何怒ってんのか知らないけど、急いでるから行くから!筆箱は持ってていいから。」



構ってる時間なんてないの!



「……ゎ……ろよ、」



途切れ途切れの言葉しか聞こえない。

けど、それ聞いてたら時間が過ぎちゃう!
それは無視しとこ。



「悠朔、教室出る時は電気消しておいてね!」


悠朔の横を通り過ぎて教室を去った。


もう廊下走らないと間に合わないじゃないー




廊下を走っても視聴覚室に着いた頃にはとっくに始まってた。


遅れたのに鉛筆の一つもない私。

無理やりにでも奪えばよかったな……



空いてる席に着くと隣の男子が私にそっとシャーペンを渡してくれた。


顔を見てみると、黒髪で黒縁メガネをした爽やか系な男子だった。




『 悠朔とは真逆な人 』

第一印象はそれだった。
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