きみに想う 短編集
部屋が火で包まれる

火を放ったのは翡翠

眠りについたままの王の首を躊躇いなくとったのも翡翠

父などの感情は一切なかった

人を殺したことにより背負った傷

部屋の外には黒い髪の陸の姿

全てはこの男の思い通りになってしまった

「俺は、あんたを信用しないよ…」

陸は微笑んでいる

その顔も何を考えているか食えない奴

「変えなくてはならない。今でも俺はやりたくない。だけど、変えてやる」

陸は何も言わず

片手を胸に当て翡翠に向かって頭を下げる

そのポーズの意味は…

これから知っていくことになるのだろう

王と陸 〜完〜


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