きみに想う 短編集
「またなの?あなた」

不安気な表情を華乃は夫に向けると

大丈夫と力強くうなづき

雫を抱いたまま

家の2階にある隠し扉に隠れた

「お父さん、またここ?」

「ごめんな、雫。すぐ終わるから」

間も無く制服を着たいかにも役員感を出す

2人の男が家玄関を激しく叩き

母、華乃が受け答えしているのが聞こえる

「ここに赤い髪はいないか?」

「知りませんわ」

「隠しているのなら、お前も同罪だぞ」

強い口調の男に堂々とさした態度の母

しばらくして男が去ったことが

わかると

父と雫は1階へと降りた

「ごめんな、華乃」

父は母に謝ると

母は強い眼差しを父に向ける

「あなたが悪いんじゃない、あなたも雫もわたしが守るわ!勿論、聖も」
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