日陰の帳面
巡々地球儀
『世界の秘密を知ってるかい?』

君は僕にそう尋ねた




君が笑う
泣く
怒る


そんな全ての感情で
成り立っているものが“世界”だとすれば




『―よく、分からない』


『だって、僕らが普段見ているものだって何かを媒介としているんだから、』




僕が君の全てを知り得ることなんて無くて

君が僕の全てを知り得ることも無い


『だから、』


僕らはそっと手を重ねて行きたいんだ
溶ける温度を確かめるように





『―そっか』
そうやって君は、少し自嘲気味に笑う










そうして回る、
僕らの地球儀


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