坂口さんの裏と表
第1章
危ない夜
好きなものは非現実。
もっと言えば現実では起こらないであろう二次元の世界を描く、アニメやゲームにマンガなど。
昨日大好きな声優のトークイベントに行ってきて、一晩経った今もその余韻から抜け出せないでいる。
そういえば、新しいゲームの予約してなかったなぁ・・・
「・・・っ!!なこっ!!!」
「はいっ!?」
突然名前を呼ばれトリップしていた感覚が引き戻された。
あぶない、今は仕事中でした。
「なこ大丈夫?ボーッとしてたけど・・・もしかして、なんか悩み事あるの?」
「え!?あ、いや!大丈夫!なんでもないよ」
現実に引き戻してくれたのは、同期であり同じ課に配属となった美和(みわ)。
社交的で誰からも好かれる性格、スタイルも良し、美貌も良しの美和は社内の人気者。
美和と仲良くなったのは入社式で声をかけられたことはもちろん、同期のうち女子は私たち2人しかいないから必然的だった。
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