変な恋は変な人と。
「……綺麗な学校...」
柳葉高校へ辿りついた私の口から出た言葉はそれだった。
まだ建てられて間もないというこの高校。流石、校舎もとても綺麗だ。この地域の中学生達に人気なのも納得だ。
校舎内に入り、私は職員室を目指した。
心無しかすれ違う生徒達の視線がちらちらと私を捉えているような気がした。
あまり目立ちたくない…。
そう思う私は出来る限りひっそりと、逃げるように早足で校内を歩いた。
しばらくすると、ようやく目的の職員室に着いた。ほっと安心しながら、私は職員室の扉をノックして中へと入った。
「失礼します……あの、その……」
緊張してしまって何を言うのか分からないぐらいにパニックになってしまう。
ああ!しっかりして私!
そんなふうになってしまった私の前に、優しい笑顔を浮かべたスーツ姿の男性が現れた。
「おはよう。八雲さん……ですよね?僕が担任の桜庭です。お待ちしてました。早速ですが、もうすぐ朝のホームルームですので教室に行きましょうか。」
桜庭先生に引き連れられ、2人で教室へと向かった。
私の入るクラスは1年B組。
教室の中に入ると、ざわざわとしていた生徒達がいっせいに私を見た。
そ、そんなに見ないで欲しいのに…。
一気に集まる視線に顔を真っ赤にして俯いてしまう。かつてない緊張に、苦しいぐらい鼓動が激しくなる。
そのクラスの様子に、桜庭先生が落ち着くようにと声をかける。そうすれば、生徒達は次々に席に着いていく。
「...はい。みんなも知ってる通り、この子が今日からこのクラスの一員になる八雲雪音さんです。」
そして先生はちらりと私を見て、なにか一言どうぞと促してきた。
ただでさえ緊張してるのに喋るなんてとてもじゃないけど無理だよ…と、心の中で弱音を吐く私だったが、ぐずぐずしていると余計に周りがざわついてしまう。
意を決して口を開いた。
「やっ、八雲といいます!あの、あの...よろしくお願いしますっ」
明らかに緊張している私の様子に、クラスメイトたちは少しおかしそうに笑っていた。それでも、何の反応もないよりは随分楽な気持ちになれる。
そうして、指定された席についた私。
言うまでもなく、1日様々な質問に襲われたのは言うまでもない。