変な恋は変な人と。
騒がしい時間は過ぎていき、お昼休みとなった。
教室で友達同士でお弁当を食べる人達や、食堂へ行く人たちといったようにそれぞれが別の行動をし始め教室にいる人数も少し少なくなった。
私はというと、自分の席……一番後ろの窓際で一人ぽつんとお弁当の入った袋を机の上に置いた。
ふと視線を外にやると、広いグラウンドが目に入る。今日はいい天気だからか、もう外ではしゃいでいる男子生徒もちらほらと見えた。
室外で食べるのもいいかも。
そう考えた私は、ゆっくりと立ち上がり教室を後にした。
ふらふらと放浪した末、私がたどり着いたのは屋上だった。
きっと立入禁止だろうなと思っていたが意外な事に出入り自由なようだ。その証拠に、今目の前には屋上への扉がありそれは無防備に開かれていた。
恐る恐る屋上へ足を踏み入れると、教室と違った開放感に思わず笑みを浮かべる。以前の高校は屋上への立ち入りが禁止だったため、何気にこれが人生で初めての屋上でもあった。
「ベンチ……」
そう呟いた私の視線の先には、綺麗な木のベンチが二つ置かれていた。
誰も座っていないのを見ると、私はそのベンチの片方の隅に腰掛けた。
静かな空間で秋風を感じる…とても心が落ち着いていく。
そんな気持ちになりながら、膝の上に弁当を置き蓋を開く。母が作ってくれた美味しそうなおかずがいい匂いを放つ。
両手を合わせ、いただきますとそう言おうとしたその時だった。
「──アンタ、誰だ?」
屋上の入口から、冷たく尖った声が聞こえた。