As sweet honey. ー蜂蜜のように甘いー
約30分の花火大会が終わった。
まだお祭りを楽しむ人も居れば、帰路に着く人もいる。
「あっという間だったね。名残惜しいけど、皆と合流する?」
「もう少し、一緒に回らない……?」
って、何言ってるの!?
言ってから、自分が何を言ったのかに気づいた。
「えっ……ははっ、うん……そうしようか」
悠太は首に手を当てながら、嬉しそうに頬を赤らめた。
そして、私達はまた人混みに紛れた。
「手、繋ごう。はぐれたら困るから」
「うん」
小さい頃にも、2人で手を繋いで歩いたっけ。
でも結局、ふたりして迷子になって、後で怒られたんだよね。
それからまた、ほんの少しの間屋台を見て回った。
「そこのカップルさんや、ただでかき氷でもどうだい?サービスだよ」
「あ、そこのおふたりさん水飴あげるよ。好きなのひとつずつどうぞ」
「よっと、バナナチョコでも同大!サービスだ!」
幾つもの屋台から呼び止められ、無料(ただ)で食べ物をもらった。
そして皆決まってこう言った。
「なんて言ったって、今日は『カップル限定○○』だからね」
確か10分の1の確率で~とか言っていたな。
こんなにも恵んで貰えるなんて、運が良いのだろうか。
「あ、メールと着信来てた。うげ、全員から来てるよ」
内容を見せてもらうと…
『ねぇ!千代と一緒なの!?ずるい!早く戻ってきてよー!』と、圭くん。
『千代ちゃんを連れ出すなんて大胆♡でも手は出しちゃダメだからねっ』と拓巳くん。
『今どこにいる。千代と一緒か?人が多いから気をつけろ』と流くん。
そして、
『二人とも。心配しています。早く戻ってきなさい。ココにいます』と地図を添付して送ってきた隼人くん。
「……皆のところに戻ろっか」
「だね」