As sweet honey. ー蜂蜜のように甘いー




悠太のことが好きなのだと自覚すると、それはそれで意識してしまうものだ。



家に悠太がいることなんて普通で当たり前の光景の筈なのになんだかソワソワと落ち着かない。




だからつい、




「か、買い物行ってくるね」




「なら僕も行_____」



「い、いい!」



「え」


本当に買うものがある時もあれば、ない時もある。



まぁ、ほとんどないけど。



無いくせに家を飛び出して少しの間家の周りを散歩する。




ああ、変なの。



なんで急に意識しだしちゃうかな。




今まではどうってことなかったのに。




「はぁ……」




その時、ポケットが震えだした。




「っ!?」




ポケットからスマホを取り出すと、着信が来ていた。




「隼人くん?」



少し珍しいなと思いつつも、電話に出た。




「もしもし……」




『千代、お前何処にいる?』





「えっと、家の外?」





『スーパーか?』




「違うよ」





『そうか。なら早く帰ってやれよ。悠太が心配してる。最近僕がいるとやけにスーパーに買い物に行くんだよ。でも手ぶらで帰ってくるんだ。しかも一緒に行くって言うと毎回断られるし。僕、嫌われてるのかなって、半泣き状態で電話してきたぞ』




「そ、そうだったんだ……」




意識しちゃって、息苦しいだけなのに。




ごめんね、悠太。




後で本人にちゃんと謝ろう。




『何をそんなに意識してるんだか』




「意識なんて…………」





『してるんだろ?』





あれ、隼人くん、私が悠太のこと好きだって知ってるの?



流くん経由?



でも流くんってそういうの人に口外しないタイプだし……



『お前が悠太のことを好きだって、見てりゃあ分かるよ。いつも一緒に昼飯食ってるんだしな』




「え、分かっちゃうものなの?」




『少なくとも、悠太と馬鹿な圭以外は皆気づいてるぜ?』




「そ、そうなんだ……」




『冗談言っていいか?』




「そんな場合じゃ______」














『もしさ、俺が、千代のこと好きだって言ったらどうする?』
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