As sweet honey. ー蜂蜜のように甘いー
ドラマの最終回が放送された、9月末。
夏の暑さも少しずつだが和らぎ、秋の風が吹き始めた。
教室内は、ドラマの話で持ちきりだった。
主演2人が教室に居るとなると、感想だの質問だのなんだのとやたら絡まれる。
「日比谷さんと葉山くんって付き合ってるの?」
「付き合ってないよ」
悠太が苦笑いで答える。
「あれはあくまでも台本通りやってるから・・・」
皆、最終回の話で盛り上がっている。
台本通りとはいえ、悠太とキスしちゃったんだ……
初めにした強引なのとは違う、ごく自然なキス。
思い出して、カッと熱くなる。
そ、そう、あれは撮影、撮影……
「葉山くんとのキスシーン羨ましい~」
「台本通りだとしてもズルイー」
恨まれないといいな、なんて思う。
「顔赤いけど、大丈夫?」
隣の悠太がそっと話し掛けてきた。
「えっ!だ、大丈夫」
「そう」
「日比谷さーん、隣のクラスの男子が呼んでるよ」
そう呼ばれて、私は席を立った。
歩いて数歩のドア所に、見覚えのない男子が1人立っていた。
「えっと……あのっ!昼休み少しお話したいことがあるので、校舎裏に来てくれませんか?」
「は、はい……」
それだけ言って、彼は足早に教室へ戻っていった。
「もしかして告白!?日比谷さんすごーい。いいなぁ」
そんなに羨ましがられても嬉しくない。
「そんなことないよ」
苦笑いで答える。
「……」
悠太は、面白くないように、そっぽを向いた。