As sweet honey. ー蜂蜜のように甘いー
昼休み、言われた通りに校舎裏へとやって来た。
待っていた彼は、もじもじと下を俯いていた。
私に気づくなり、挙動不審になる。
「あっ、ほ、ほ、本当に来てくれたんだ」
「呼ばれたので」
「僕なんかが言っていいのか分からないんですけど。僕、日比谷さんのことが好きです!日比谷さんが芸能活動を始める前から」
「気持ちは嬉しいです。でも、ごめんなさい・・・」
「いえ!ただ伝えたかっただけなので。最初から分かってましたから。日比谷さんは葉山くんと付き合ってるんですよね?」
「え?付き合ってないよ?」
「そうなんですか?」
どんな噂が流れたんだろう。
「うん。ただ、昔からの知り合いなの。あと、仕事で共演しただけだよ」
「そうなんですか。でも、日比谷さんにとってそれだけだとしても僕らに勝ち目はないですね」
「僕ら?」
「日比谷さんを好きな男子のことです。僕の憶測に過ぎないんですけど、葉山くんは日比谷さんの事が好きなんですよ。なので、流石に葉山くんには勝てません」
「っそ、そうなんだ」
「多分、他の人達は気づいてないと思います____って、余計な事言っちゃいましたか?」
「ううん、全然。気持ち、伝えてくれてありがとう」
「はい。もし、日比谷さんが誰かを好きになった時は、僕みたいに勇気を出して気持ちを伝えて下さいね」
「っ」
「日比谷さんが損をしない選択を出来ます様に。じゃ、僕戻りますね」
最後には、晴れやかな表情で彼は去っていった。
「あ、名前聞くの忘れちゃった」