As sweet honey. ー蜂蜜のように甘いー
私は大事なことをまた忘れていた。
「圭くん、話が……あります」
「あー、うん。了解」
とある休日、私と圭くんは近くの公園のベンチで待ち合わせた。
「私、圭くんとはお付き合いできません」
「だよねー、知ってた」
ヘラヘラと空を仰いでいる。
「……」
「悠太と付き合うことになったんでしょ?良かったね」
「本当はその前に言わなきゃって思ってたんだけど……」
「いいよ、元から返事は分かってたからさ」
「ごめんなさい」
「そんな暗い顔しないでよ。千代ちゃんはもっと喜ぶべきなんだから」
「でも」
「でもじゃなーい。罪悪感よりも今ある幸せに浸った方が絶対良いに決まってる。だろ?」
いつもの笑顔。
「ってことで、俺はこれから撮影なので!」
じゃ!と言って圭くんは公園を後にした。
「次は、拓巳くん……だよね」
とりあえず電話をかけてみることにする。
撮影中かな……あ、出た。
『千代ちゃん?どうしたの?』
「えっと、話があって……」
『今休憩中だから電話でいいかな』
でも、会って話したほうが良いよね。
「また今度時間のある時に____」
『告白の返事?』
「っ!そ、そう」
『いいよ、電話で』
「………ごめんなさい」
『ん、了解。お幸せにね、千代ちゃん』
「え」
『反応がそんなに意外?』
「う、うん」
なんで2人ともそんなにサッパリしてるの?
『まぁ、圭くんと同じ理由かな。あ、ごめんね、もう撮影に戻らなくちゃ』
「が、頑張って」
『ありがとう、千代ちゃんは優しいね。じゃあ、また学校でね』