As sweet honey. ー蜂蜜のように甘いー
「葉山くん!いつも応援してます!」
「ありがとう」
「あの、サイン貰えませんか!?」
「ごめんね、今はちょっと……また今度ね?あ、代わりに握手だけでいいかな」
他校の高校生が、悠太の周りに群がる。
変に思われてはいけないと、私は離れた場所にいる。
「……うん、じゃあまたね」
少しして、その高校生達も帰っていった。
「はぁ、皆元気だよねー」
戻ってくるなり、私の隣に座る。
「誰だって好きな芸能人が目の前にいたらああなるよ」
「じゃあ、千代は?」
「私は別に、なんとも思わないけど」
「だーよねー」
「今日はこのまま帰る?」
「うーん、昨日、一昨日と行かなかったから、今日は行こうかな」
「ん、わかった」
「2人とも、今日はもう上がっていいよ」
スタッフさんの合図で、さっと立ち上がった。
「お疲れ様でした!」
「お疲れ様でした」
最後にそう言って、帰路につく。
「明日はOFFだー!」
「良かったね」
「朝もゆっくり出来るし、一緒に登校し_________あ、ダメか」
実は、今の今まで朝は必ず時間をずらして登校していた。
理由は勿論、怪しまれないように。
「アイドルって、どうしてこんなに不便なんだろ」
「仕方ないよ」
「ねぇ、千代」
「ん?何?」
「千代もいっそのこと、芸能人デビューしちゃいなよ」
「何度も言ってるけど、私は嫌なの」
「紗代里さんの一件があったとは言え、それはもう昔のことだし……芸名使えばバレることも無いんじゃないかな」
芸名使ったって、親子だもん。
顔でバレちゃうよ。
「……ごめん、この話はおしまいにするよ」
4月も終わりに近づく今日このごろ、『お見合い』まで日にちが刻々と迫る。