As sweet honey. ー蜂蜜のように甘いー
私達は幼稚園の頃からずっと一緒だった。
私が3歳の頃、パパはもう会社を立ち上げていて、ママも別の仕事をしていた。
二人ともこの頃からずっと忙しくて、私に構ってくれるのも、少ない休日の間だけ。
そんな私が、幼稚園で出会ったのは、独り隅で遊ぶ男の子。
それが悠太
『一緒に遊ぼう?』
その一言が始まり
それからというものの、悠太は私にべったりだったし私も別にそれで良くて、学校でも家でも片時も離れることはなかったと言っても過言ではないくらい仲が良かった。
けど、中学3年の頃悠太がパパにスカウトされて事務所に入った。
最初はあまり目立つ仕事はなかったけど、グループを組んでだんだん人気になってきて……
今じゃ街中の大スクリーンに映るのは当たり前、グループとしても個人としても、各雑誌や番組に引っ張りだこ。
お昼休み
「ねぇ、日比谷さんってもしかして、あの日比谷芸能プロダクションと関係あるの?」
これで何度目だろう、この質問をされたのは。
「ううん、全然関係ないよ。たまたま名前が同じだけだよ」
本当は私のパパはその事務所の社長です
なんて言えない
「そっか!あ、そういえば葉山くんは日比谷芸能プロダクション所属なんだよね?」
「うん、そうだよ」
少しおっとりとした口調でそう言う。
良かった、私から話が逸れて。
学校では出来るだけ言わないようにしてるから
有名な芸能プロダクション故に、私がその社長の娘なんて言ったらいろいろ面倒だ。
パパは私が3歳の頃……パパが25歳のときにはこの事務所を立ち上げてて、そりゃあ最初は経営は厳しかったものの、上へ上へと這いつくばるよう登っていった結果、今こうして日本で上から1番と言ってもいいほどの大きく有名な会社に_________ってパパが言っていた
パパにも、『あまりお前が私の娘だという事は口外しないこと。お前の身のためだ。いいな?』と言われているから。
その意味が理解できるようになったのは小学校に上がって何年かしてからだったけど。
「あたし、今度発売のCD予約しちゃった!」
「本当?ありがとう」
「葉山くんって、素もおっとりしててホント癒し〜」
「そうかな?」
それは事実
高過ぎず低過ぎない心地の良い声のトーン、ゆっくり目の速さ。
それに、色素の薄いサラサラの髪、透き通るような瞳、高い身長、萌え袖……こんな完璧な癒し系はそうそういないだろう。
これもそれも全て彼の素何だから、大したもんだ。
まぁ、朝方の出来事みたいなもう一つの顔を持っているのも事実。
ただ、表には出さないだけで