As sweet honey. ー蜂蜜のように甘いー



「カット!最近調子がいいね、悠太くん」




「ありがとうございます!」




猛暑が続く8月半ば、ドラマの撮影もようやく半ばを迎えた、後半戦だ。




外での撮影は、体力を奪われる。




こまめに水分を摂るように言われているが。





「…っ」




少し頭が痛い。




今日、あと残すは1カットだけ。




大丈夫、大丈夫。






「大丈…夫」







「よし、あと1カットで今日の撮影は終わりだからね、よろしく頼むよ」




「はい!」



あと少し、あと少し頑張らなくちゃ



「千代、大丈夫か?」




「うん、平気」




「無理するなよ」




「ありがとう、流くん」




もつれた足が、崩れる。




熱い地面に私は倒れた。





暑い……





焦げそうなほどに暑い。




そんな中、私は気を失った。




どれくらい気を失っていたのか、知るはずもなく、目覚めた。





「っ……!やっと目開けた。千代、平気!?」




「この暑さだ。いつ体調を崩してもおかしくなかった」



今、何時だろう……撮影は?



そうだ、撮影だよあと1カット



「さつ……えいは?」




「ああ、撮影は明後日に持ち越しになった。主演がこんな状況だからな」



そんな……




いろんな人に迷惑をかけてしまった。




明日きちんと謝らないと。



「そんなに心配することはない。今は自分の体を大切にしろ。明日は家で療養だな」





「僕が付いててあげるから」





というか……





「ここ、どこ?」





「僕の家の僕の部屋」




「道理で見覚えのある場所だと思った」




「今日はスペアキー持ってなかったから」




「ありがとう、2人とも」




「えへへ」




「で、どうするんだ、このあとは」





「……帰ろうかな」





「いやいや、今日は僕の家に泊まっていくべきだよ!」




「でも」




「……そうだな。そうした方が安心だ」




「今日はうちの家族も居るからね」




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