As sweet honey. ー蜂蜜のように甘いー





「奏、多分絶対引くつもりなんてないと思うよ」





「それは、玲もでしょう?」




「そうだけど……」




「決めるのは、美琴だよ」





そう、決めるのは……私






「そうだ。今度の夏祭りって予定空いてる?」





「夏祭り?」




そう言えば、そろそろ大きな夏祭りが近所であるんだっけ




「毎年行ってるあの夏祭り。夏っていろいろと祭りがあるけど、僕はあの夏祭りが一番好きだなぁ」




ここら辺じゃ一番大きなお祭りだ。



当日は、屋台の通りがいくつも出来、大勢の人が集まる。



暗くなると、何発もの花火が打ちあがり、夜空を彩る。




私達は、小さい頃から毎年来ている。




「悠太こそ、スケジュール大丈夫なの?」





「んー、何とかするよ」




「そっか。私も、ママと相談してみるね。皆も来れるといいね」




去年はStarRiseの皆と行ったのを、今でもよく覚えている。




「今年は皆とじゃなくて、僕と二人で行こうよ」




「二人で?」




「そうだよ。去年だって本当は二人で行きたかったのにさ、せっかくだからって……」





顔は見えなくても、膨れているのが良くわかる。





「でも、楽しかったよ?」




悠太は楽しくなかったのかな。



ゴソゴソと体の向きを変えると、私を見た。




「そりゃあ楽しかったよ。でも僕は、千代と二人で行きたいの。誰にも邪魔されたくない」



目が合う。




熱い眼差しが心臓をつつくみたいで痛い。





「……考えとくね」

















< 94 / 126 >

この作品をシェア

pagetop