Be with you
気になる彼
太陽がきらきら輝く夏。
登校するだけで汗が染みるワイシャツをパタパタと手で仰ぎながら廊下を歩く。
ガラガラッと古い音を立てて開いたドアから教室を覗いたら、まだ人は誰もいなかった。
今日も一番の登校だ、なんて思いながら私の特等席へと足を運ぶ。
それは窓際の一番後ろの席。
学校の正門からグランドまでが、遮られる事なく見わたせる。
私は、ここから外を眺めるのが好きだ。
部活に入っているわけではなく、早朝講習があるわけでもなく、ただ席についてボーッと外を眺める。
何の変哲も無いこの時間は私の1日の始まりには欠かせないものとなっていた。
「真美、おはよ」
ちらほらと登校する人達が増えた中、私に掛けられた声に振り向くと、そこには長い黒髪が印象的な私の親友の姿があった。
「おはよ」
笹倉なみ。
小学生の頃から家族ぐるみの付き合いで、何度もお互いの家を行き来する仲。
今でもその付き合いは続いていて、頭の良いなみと何とか同じ学校に行こうと頑張って受験を乗り越えた。
「今日はあの人見れたの?」
「んー?あの人ねー、まだ来てない」
「そっか、結構時間ギリギリね」
私が朝早く来ている目的はもう一つ。
それは、憧れであるあの人の登校姿を見逃さないため。
話しかける勇気など持ち合わせていない私は、こうして遠くから眺める事しか出来ない。
「あ……っ」
来た。
遅刻ギリギリになって友達と一緒に走っている姿は、なんだか楽しそう。
見ているこっちまで笑みが零れそうだ。
チャイムが鳴る寸前に校門に入ったあの人を見届けてから、HRのために私は前を向いた。
だけど朝からあの人を見れた嬉しさで、思わず口元が緩む。
「ちょっと真美、にやけてるよ」
「…ごめん」
抑えきれない幸せが溢れ出した。
登校するだけで汗が染みるワイシャツをパタパタと手で仰ぎながら廊下を歩く。
ガラガラッと古い音を立てて開いたドアから教室を覗いたら、まだ人は誰もいなかった。
今日も一番の登校だ、なんて思いながら私の特等席へと足を運ぶ。
それは窓際の一番後ろの席。
学校の正門からグランドまでが、遮られる事なく見わたせる。
私は、ここから外を眺めるのが好きだ。
部活に入っているわけではなく、早朝講習があるわけでもなく、ただ席についてボーッと外を眺める。
何の変哲も無いこの時間は私の1日の始まりには欠かせないものとなっていた。
「真美、おはよ」
ちらほらと登校する人達が増えた中、私に掛けられた声に振り向くと、そこには長い黒髪が印象的な私の親友の姿があった。
「おはよ」
笹倉なみ。
小学生の頃から家族ぐるみの付き合いで、何度もお互いの家を行き来する仲。
今でもその付き合いは続いていて、頭の良いなみと何とか同じ学校に行こうと頑張って受験を乗り越えた。
「今日はあの人見れたの?」
「んー?あの人ねー、まだ来てない」
「そっか、結構時間ギリギリね」
私が朝早く来ている目的はもう一つ。
それは、憧れであるあの人の登校姿を見逃さないため。
話しかける勇気など持ち合わせていない私は、こうして遠くから眺める事しか出来ない。
「あ……っ」
来た。
遅刻ギリギリになって友達と一緒に走っている姿は、なんだか楽しそう。
見ているこっちまで笑みが零れそうだ。
チャイムが鳴る寸前に校門に入ったあの人を見届けてから、HRのために私は前を向いた。
だけど朝からあの人を見れた嬉しさで、思わず口元が緩む。
「ちょっと真美、にやけてるよ」
「…ごめん」
抑えきれない幸せが溢れ出した。