あなたにキスの花束を



「よく分かりませんけど、私で良かったら。えーと、……、司(つかさ)さん」



やばかった。脳内で王子王子言い過ぎて彼の名前が一瞬出てこなかった。

でも確かに合コンで他の子がそう呼んでいたから間違いない。

隣の彼はしばらく私の顔をじっと見て、



「うん」



何だか嬉しそうに答えて小さく笑うと、私を促すように歩き出した。

ポケットの中の私の手を、ぎゅっと握って。






< 11 / 63 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop