あなたにキスの花束を


だから本当に好きな人に自分から告白するのに慣れていないし、協力してくれる女の子を探すのも一苦労なんだ。

実は私だって彼に惹かれてはいるけれど、それはつい先ほど意識したばかりの、まだ芽生えたばかりの憧れだ。

少しだけ痛む心の傷は、今なら浅い。

だから彼のために、笑ってその恋を応援してあげる演技ぐらい、容易くできる。



「私、華道を嗜んでたりとか、特にお花を選ぶのに慣れてるとか、そういう事は何もないど素人ですよ」

「構わないよ」

「店員さんに相談した方がいいかも。あっちはプロですから」

「君に頼みたいんだ」

「ものすごくセンス悪いかもしれないのに?」

「君が? それは無いよ。見てたら分かる」



彼はやけに自信満々に言い切ってくれる。
まるで私を挑発してるみたいだ。

< 30 / 63 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop