あなたにキスの花束を
だから本当に好きな人に自分から告白するのに慣れていないし、協力してくれる女の子を探すのも一苦労なんだ。
実は私だって彼に惹かれてはいるけれど、それはつい先ほど意識したばかりの、まだ芽生えたばかりの憧れだ。
少しだけ痛む心の傷は、今なら浅い。
だから彼のために、笑ってその恋を応援してあげる演技ぐらい、容易くできる。
「私、華道を嗜んでたりとか、特にお花を選ぶのに慣れてるとか、そういう事は何もないど素人ですよ」
「構わないよ」
「店員さんに相談した方がいいかも。あっちはプロですから」
「君に頼みたいんだ」
「ものすごくセンス悪いかもしれないのに?」
「君が? それは無いよ。見てたら分かる」
彼はやけに自信満々に言い切ってくれる。
まるで私を挑発してるみたいだ。