あなたにキスの花束を


「これくらい出来ないなんて言わないよね?」とでも言いたげな様子で少しだけ意地悪に口角を上げて。

あ、こんな表情もするんだ、なんて密かな感想。



「分かりました。選んであげます。でも、私の好み100%になりますからね」

「それでいいよ。信頼してるから」

「じゃあ全部ハエトリグサで!」

「それで喜んでもらえると、君が思うなら」



潔いな王子!

顔色一つ変えずに即答された。手強い。
私が選ぶなら食虫植物のブーケも辞さない覚悟とは。

負けた。

彼は私から視線を外さない。



「君は絶対、俺のために一生懸命になってくれる人だ。たとえ今日会ったばかりでも。俺には分かるんだよ。だから、君が選んで」

「それこそ買い被りですね」


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