あなたにキスの花束を
でも、最初は司さんの王子様オーラに緊張していた私も、気が付くと今はいつものペースで自然にお喋りが出来ていて、この時間が愉しいと心から思っている。
それだけでも、今日来た甲斐があるんじゃないのかな。
だから私の今の心の色を、選ぶ花束に映してあげよう。
リクエストのマーガレットも入れて、名前なんかよく分からなくても、色や形の愛らしい花を幾つか選び出す。
決まったら店員さんを呼んで、指定した花達を可愛いコーディネートで纏め上げてもらう。
告白用の花束なんですよ、と告げると、店員の女の人は「じゃあ任せてくださいね」と優しく笑ってくれて、とても綺麗な薄紙とリボンを使って花束にラッピングを施してくれた。
プロから見たらきっと纏まりのない花々だっただろうに、その手に掛かると魔法のように整っていくから不思議なものだ。
司さんは私の隣でずっと楽しそうにその様子を見ていて、見上げた私と目が合うと微笑んでくれた。