あなたにキスの花束を
「気に入ってもらえました?」
「うん、ありがとう。俺はとても好き」
「彼女も喜んでくれると思います?」
「絶対に」
相変わらず自信満々の司さんを見ていると、かえって私の方が責任の重大さをひしひしと感じてしまうけれど。
会計を済ませて仕上がった花束を手にした司さんは、その姿がとても嵌まっていて、泣きたくなるほど格好良かった。
でも多分私が泣きたくなったのは、花を選ぶ時間が終わってしまったからだ。
彼はその花束を渡すために、今から好きな人の所に行くのだろうか。
彼に跪かれて花束を差し出される、本物のお姫様の所に。
胸に切ない塊が込み上げてきて、目許に熱を覚える。
好きになり始めた所なのに、もう失恋かあ。
最速記録だな、なんて私は遠い目になった。