あなたにキスの花束を


驚いて咄嗟に相手を跳ね退けようと両手に力を籠めたけれど、かえって一層力強く抱き寄せられてそれは叶わない。

頭の上から声がする。



「あんまりしつこくしないでよ。この子、俺の彼女だから」



……はい?


もちろん私には覚えが無い。
「あの時助けてもらった鶴です」とか言われるぐらい覚えが無い。

そもそも彼氏が居たら合コンなど行かぬわ!

そんな驚きと抗議を表情にありありと浮かべながら、私は慌ててその人の顔を見上げたのだが。



「───あ」



何てこったい。


見上げた先には、見覚えのある王子様の顔があった。

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