あなたにキスの花束を
彼はにこにこしながら、掛けていた眼鏡を外す。
「これ、もう外していいよね。今日コンタクトなんだ」
ええ、もう眼鏡が無くても分かります。
彼はケースに眼鏡を仕舞うとまた内ポケットに戻し、乱した髪糸を指で掻き上げて撫で付けている。
「いつ気付いてくれるかなって、思ってたんだけど」
「だってまさか合コンで鉢合わせするなんて」
「だよね。俺も最初は驚いた」
どうやら合コンでの鉢合わせは、本当に偶然だったらしい。
しかし最初に気付いたなら言っておくれよ!
私の無言の訴えに、彼が返すのは矢張りそつの無い微笑みだ。