あなたにキスの花束を


「あのねえ、片桐さん! もうリップサービスは結構です。これ以上を私をからかわないでくださ」

「からかってないよ」



私の言葉を途中で制して、一言ぽつりと告げた彼の眼差しは、真摯に私を見詰めていた。



「からかってない」



彼は自分の膝を掴むようにして立ち上がると、まだしゃがみ込む私に手を差し伸べて、私の事も立たせてくれた。

取られた手はそのまま放してもらえず、ゆっくりと引き寄せられる。

指の並びに触れた柔らかいものは、彼の唇だ。



「俺はね、」



私の指に触れさせたままの唇が、優しく言葉を紡ぐ。

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