あなたにキスの花束を


私は鳩が豆鉄砲で撃ち抜かれまくった顔をしていたのだろう。

彼は小さく噴き出して、口許にはっきりと優しい笑みを綻ばせる。
かと思うと人差し指を伸ばして、とても打ち解けた所作で、私の額を軽く小突いた。

はい、王子のでこぴん頂きました!
そんな私の心の声は、もちろん彼には聞こえない。聞こえちゃ困る。

王子は小首を傾げるようにして私の顔を見遣っている。



「そんなに驚かないで。君、どうして俺がここにいるのかって聞きたいんじゃない?」



たった今親しく触れられた額を擦りながら、私はそう言えばと思い直した。

私が合コンの席から抜け出す時には、残った女子二人に連絡先を聞かれて詰め寄られていたような。

その割には彼はあまりにもタイミング良く私の前に現れたっけ。

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