あなたにキスの花束を
「そうだ…! 合コンどうしたんですか。まだ皆飲んでたじゃないですか」
「まあね。でも君が抜けて人数が合わなくなったから、早々に抜けてきた」
「抜けられたんですか」
「君だって抜けたじゃないか。それに俺は、君に興味がある」
「はい?」
ズキュウウウン。
何か、鳩よりもっと大事なものが撃ち抜かれたような音が脳内に響いた。
彼が長躯を屈め、ずい、と間近く私の顔を覗き込んでくる。
そして綺麗なその顔で、にっこりと笑って言うのだ。
「実は君を追い掛けてきたんだ美咲ちゃん」
「!」
一足先に、私に春が来たんだろうか…!
今まで地味に運が悪かった私に、大金星キタコレ。
私の心の中の小人が大漁旗を振り翳し、勝利の法螺貝が脳内で鳴り響く。
…というのは億尾にも出さず、私は想定外の事態に固まっていた。