答え合わせ
ああ、そうか…
そう言えば、バレンタインに気持ちを聞かせてって言われたっけ。すっかり忘れてた。
正直、忘れてしまうほどだから、中村先輩へ思うことはない。だから、はっきり言える。
「先輩…、申し訳ありません。僕、いるんです、好きな人が。ですから、先輩の気持ちには答えられません」
「…そう、分かった。でも、悔しーなぁ! 部活入りたての頃は、女の子の話とかしても、ちんぷんかんぷんって感じだったのに。
それが今は、しっかり分かってる。だから今も、これからどんな話をするか分かってるから、ああ言ったんでしょ?」
「ま、まあ…」
確かに今までだったら、あんな風には考えなかったと思うし、答えてないと思う。
南のおかげ…なんだよな。
「これ…」
中村先輩から差し出されたのは、手作りのチョコレートケーキ。
「あ、ありがとうございます…」
「フラれておきながら、渡すのは図々しいと思うけど…、許して? …あ! そろそろ部活だね。いってらっしゃい!」