答え合わせ



しばらくして、健のお母さんが続ける。


「でも、まだすぐには面会できないみたい…。目は覚ましたとはいえ、検査とかいろいろあるみたいで。

それで…やっぱり記憶…飛んでしまってるみたい…。私のこと、誰だか分かってなかった…」


再び、涙声が聞こえてきた。


健の目が覚めた!という嬉しさの反面、厳しい現実も突きつけられた瞬間だった。


「そんなわけで…、しばらく面会は難しいだろうけど、落ち着いたら、また連絡するね…?」



しばらく、健と面会はできない。けど、まずは目が覚めて、良かった…本当に良かった。



「…はい…。連絡いただいて、あ、ありがとうございます…!」


「…いいのよ。きっと…、こうしたほうがあの子も喜ぶんじゃないかと思って…」


「本当に…ありがとうございました」


そして電話は静かに切れた。







さっきまで蒼々としていた空は、夕陽に染まりつつあった。オレンジ色の綺麗な夕陽に。











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