二人の未知~X'mas短編ストーリー~


立ち去る車を見送りマンションに入った奈美を見届けて、トオルは再会の瞬間を待った


すごいドキドキする…
会った瞬間、嫌な顔をされたら?


不安にかられているとエレベーターのドアの開閉音が聞こえパンプスの足音が近づいてくる‥


トオルは再び深呼吸をした

ピタッ‥と止まった足音にトオルは顔を上げる‥


「トオ‥ル?」


目を向けると、びっくりした表情で自分を見つめる奈美がいた──


「よぉ‥、久しぶり…」


早る鼓動を抑え、平静を保ちながら声をかける


「ちょっと近くまで来たから久しぶりに…元気かな? って思ってさ」


緊張を悟られないように思いつくままトオルは口を滑らせた。


「元気だよ、…今日は会社の忘年会で……」

奈美はそういいながら部屋の鍵を開けた。
そして、玄関の明かりをつけて驚く


「ちょっ‥もしかしてずっとここで待ってたの!?」


部屋から漏れた明かりでトオルの冷えきった表情がはっきりと確認できた


「いや…そんな待ってないよ。コレを‥」


トオルは誤魔化しながら紫色になった唇で喋り手土産のプリンを差し出した


「──…まあ、いいわ…せっかくだから上がって‥」

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