正しい紳士の愛し方
時刻を確認する流れのままSNSを開く。
親友とのトーク画面。
満に知らせた方がいいよね。
心配かけちゃったし……
『この間はひどい態度とってごめん。あれから色々あって、ちゃんと話して、大和さんとお付き合いさせて頂くことになりました。
詳しくはまた後日改めて……(*^▽^*)』
送信。
メッセージを送ったタイミングで注文していた飲み物が届く。
メールは数分も経たず既読となり、すぐに満から着信が入った。
「もしもし、この間はごめ……」
電話を受けて第一声で謝罪を述べようとした樹だが、彼女からの『おめでとう、樹』という言葉にかき消されてしまった。
樹の涙腺が緩む。
「ありがとう……」
声を詰まらせながら感謝を述べた。
『諦めなくて良かったね』
「うん……」
自分の手で消しかけた恋心。
もし、あの場で本当に消えてしまっていたら、今とまったく異なる意味の涙をずっと流していたにちがいなくて。