正しい紳士の愛し方
駅の構内でお酒とおつまみを買って、満のアパートに向かう。
おつまみはそんなに沢山買わなくても大丈夫。
お金を出せば手に入る味気ないものより、彼女が出してくれる手作りの料理を樹は好んだ。
満のアパートはそんなに新しい建物ではない。
“家賃が安くて、大家さんがいい人”
これが長年住み続ける理由だそうで。
カツンカツンと少し錆びた階段を上がっていく。
ピンポーンとインターホンを鳴らすと、中からパタパタっと小走りする音が聞こえた。
「いらっしゃい」
ドアが開くと親友が優しい表情で出迎えてくれた。