正しい紳士の愛し方
行動があまりに怪しくて、樹は二人の顔をじっと見つめる。
晴子さんはムスムズと何か言いたい感じを出し始めていた。
「……もういいじゃない、大和。言っちゃうわよ」
「好きにしろよ……」
彼は諦めて白旗を振ると、黙々とお弁当のおかずをつまみ出した。
「実はあの日、私たちはホテルのレストランでディナーをしたの」
「そうなんだ。レストランって、あの最近できた……?」
「そうよ」
二人で過ごしたレストランで晴子さんとも……
それも、自分よりも先に……
こんな事くらいでモヤモヤするなんて大人気ないかな。
でも、やっぱりヤキモチ妬いちゃいそう。
だって、この二人が仲良い事は今日だけで十分理解したから。
「でも、誤解しないでね。レストランでは下見を兼ねて食事しただけ」
「下見……?」
「えぇ、大和とあなたのデートのし・た・み」
晴子さんはパチンとウインクしてみせた。
その大きな瞳からハートマークが飛び出したよう。