正しい紳士の愛し方
樹が買ってきたおつまみと満特製のきんぴらごぼうを肴に二人でいっぱいやる。
それは、同僚との飲み会以上に久しぶりだった。
「大和さんなんて、こうして……こうしてやるんだから……」
樹はおつまみ用のさけるチーズをせっせと何等分に割いている。
無惨に割かれたチーズは最終的に彼女の口へ入っていく。
「高津さんとなんかあった?」
満に尋ねられると、樹はチーズを割く手を止めてムッとした。
問われたからではなく、彼の名前を聞くことで今夜の出来事が鮮明に思い出されたから。
「女と二人でホテルに入っていくってどう思う……?それも、とびっきりの美女と二人で」
「どうって……時と場合によるかな」
「“時と場合”って何よ。もし、武長さんがそうだったら満は許せちゃうんだ?」