正しい紳士の愛し方
「樹ちゃんの喜ぶ顔が見れるなら安いものなんだけど」
彼が何気なく口にした言葉に、樹の小さな心が反応する。
大和さんの方に視線を向けたのをすぐに後悔する事になった。
心臓の鼓動は急激に早く大きくなっていく。
大好きなマカロンスウィーツみたいに甘美な微笑み。
樹は堪らず視線を逸らすと「……あんな大きな子、アタシんちには入らないもん」と尤もらしい理由で片付けた。
「じゃあ、樹ちゃんがあのウサギのぬいぐるみが入るほどの家を手に入れた時に、改めてプレゼントしようかな」
「そんな時が来るのかな?」
「さぁね。でも、望んでいれば可能性はゼロじゃない」
「そうだね」と樹が頷く。
会話が一段落ついたところで「ゲームランド、見えてきた」と彼が前方を指さした。
「プリクラ、人があまり多くなければいいね」
二人は話しながらゲームランドに向かっていった。