正しい紳士の愛し方
「はい、どうぞ」
「ありがとう」
樹は差し出されたプリクラを両手で受け取って礼を述べた。
「樹ちゃんの笑顔、すごい可愛い。よく撮れてる」
大和さんは樹の背後から覗き込むようにプリクラを眺めて言う。
好きな人とのツーショットがこんなに嬉しいなんて。
樹は出来たばかりのプリクラを大事そうに胸に抱いた。
「……そろそろいい時間だな」
大和さんは自身の腕時計で時間を確認して言った。
夜七時から予約のディナー。
期待と緊張から解放されるとなんだかお腹も空いてくる。
「ご飯食べに行こうか」
彼はスマートに手を差し出す。
「はい」
樹はプリクラを大切にバッグにしまい、彼の手を取った。