正しい紳士の愛し方
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翌朝、樹は広くてフカフカのベッドに寝ていた。
横では大和さんが規則正しい寝息をたてながら眠っている。
カッターシャツが肌蹴て、そこからキメ細かい彼の肌が露出する。
無邪気な寝顔。
こんな大和さんを見るのは初めて。
「……大和さん、朝だよ」
樹は小さな声でモーニングコールする。
チョンと指先だけで肩に触れると、彼の眉毛がピクッと動く。
柔らかそうな髪の毛が少しだけ乱れた。
樹は眠っている彼の頭に遠慮気味に触れる。
思った通りの感触。
硬すぎず柔らかすぎない、樹がもっとも好む髪質。
止めていた手をゆっくり左右に動かしてみた。
「……うわっ」
すると、大和さんは急に樹の手首を掴んで自分の胸に引き寄せる。
ギューっと抱きしめられる。
力いっぱいだけど痛くない。
それは、彼が無意識だったからに他ならなかった。