正しい紳士の愛し方


***

翌朝、樹は広くてフカフカのベッドに寝ていた。


横では大和さんが規則正しい寝息をたてながら眠っている。


カッターシャツが肌蹴て、そこからキメ細かい彼の肌が露出する。


無邪気な寝顔。


こんな大和さんを見るのは初めて。


「……大和さん、朝だよ」


樹は小さな声でモーニングコールする。


チョンと指先だけで肩に触れると、彼の眉毛がピクッと動く。


柔らかそうな髪の毛が少しだけ乱れた。


樹は眠っている彼の頭に遠慮気味に触れる。


思った通りの感触。


硬すぎず柔らかすぎない、樹がもっとも好む髪質。


止めていた手をゆっくり左右に動かしてみた。


「……うわっ」


すると、大和さんは急に樹の手首を掴んで自分の胸に引き寄せる。


ギューっと抱きしめられる。


力いっぱいだけど痛くない。


それは、彼が無意識だったからに他ならなかった。


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