正しい紳士の愛し方


鍋をつつきながら焼き鳥とソーセージを食べて、酒宴はまだまだ続く。


この時間までカラ元気でなんとか場を持たせてきた樹だったが、アルコールが入るごとに限界を感じ始めていた。


「……ごめん、アタシそろそろ帰るね」


樹は最後にボロを出さないように笑って皆に告げる。


「もう……?」


里奈さんが帰ろうとする樹の腕を掴んで引き止める。


ほろ酔いの表情でウルウルと上目遣い。


男だったらうっかり惚れてしまいそう。


「丸一日イベントあったから疲れちゃった」


「そっか……」


彼女はあからさまにしょんぼりするが、観念して手を離す。



< 7 / 117 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop