正しい紳士の愛し方
鍋をつつきながら焼き鳥とソーセージを食べて、酒宴はまだまだ続く。
この時間までカラ元気でなんとか場を持たせてきた樹だったが、アルコールが入るごとに限界を感じ始めていた。
「……ごめん、アタシそろそろ帰るね」
樹は最後にボロを出さないように笑って皆に告げる。
「もう……?」
里奈さんが帰ろうとする樹の腕を掴んで引き止める。
ほろ酔いの表情でウルウルと上目遣い。
男だったらうっかり惚れてしまいそう。
「丸一日イベントあったから疲れちゃった」
「そっか……」
彼女はあからさまにしょんぼりするが、観念して手を離す。