正しい紳士の愛し方
感じ悪い女だって思ったかな……
もう一度、チラリとシュウを見た。
シュウは何も気にせず女の子たちと会話を続けている。
気にするはずないか……
なんて考えながら、何気なくスマホの電源を再度ONにする。
着信を知らせるバイブがすぐに震え出たす。
「ちょっとごめんなさい」
樹は一言断って席を立った。
着信は大和さんから。
仕事が一段落ついたのだろう。
一時間ほど前から着信が数件続いている。
震えるスマホを握りしめるだけで、応えることはしなかった。
そのうち、着信は途切れる。
「彼氏?」
背後から突然声を掛けられて、樹はビクッと肩を揺らす。
振り向くと、そこにはモデルのシュウが立っていた。
「いや、別にそんなんじゃ……」
「じゃあ、ストーカー?何件も着信あったみたいだし。
樹ちゃん……だっけ?可愛いし、男としては分からなくもないかな」
「ちっ、ちがう――…違います」
樹はスマホを後ろ手に隠した。
他人に見られていたのが恥ずかしい。