正しい紳士の愛し方
「おっと……危ない」
倒れそうだった樹の体をたくましい両腕が支えた。
「大和さん……!?」
樹は目を見開いて驚く。
こんな場所になぜ彼がいるのだろう。
今頃、百合さんのお祝いパーティーに行っているはずなのに。
「やっと見つけた。電話も全然繋がらないから苦労したよ?」
「ご、ごめんなさい……」
樹はなんだか成り行きで謝ってしまっう。
混乱していた。
だって、今この瞬間に会うはずが無いと思っていた人が突然そばに現れて、自分の体を支えてる。
「俺の方こそ、あの時はごめん。付き合ってもないのに先走って嫌な思いさせた。樹ちゃんは他の子とは違うのに……」
そう……アタシは他の女の子とは違う。
大和さんと釣り合うような美人な女の子になんてなれない。
分かってるよ……
だから、好きでいることをやめたのに……
なんで探しになんて来るの?
アタシの気持ち全部知ってるくせに。