正しい紳士の愛し方
レストランの入り口には正装した男性が立っていて、大和さんが二人分の招待状を見せるとすぐに奥に通してくれた。
緑が囲む庭を歩いていく。
ササーッと木々が夜風に揺れる。
あのホテル街からそんなに離れていない場所に、こんなレストランがあっただなんて樹は知らなかった。
人の話し声と緩やかなピアノ演奏が聴こえる。
緑の庭を抜けると、明るいガーデンパーティーの会場が視界いっぱいに広がった。
「すごい……」
樹の口から思わず感想が零れる。
ぐるりとあたりを見渡して、ある一点で動きを止めた。
「……百合さん?」
綺麗なパーティードレスを着た百合さんの艶やかな姿。
この間は和服だったけど、洋装も文句なしに素敵だった。
百合さんが招待してくれたパーティーには行くつもり無かった。
ただのコンパ帰りで、とてもパーティーなんか出られる格好じゃない。
大和さん、どういうつもりなんだろう……
樹はソッと大和さんの表情を窺う。
ちょうど彼もこっちを見ていた。