エリート上司に翻弄されてます!
言うことを聞きなさい
その日私は一睡も出来ないまま朝早く家を出た。
数日泊まる準備を持って。
「朝早くから誰かと思った」
私のインターホンで起こされた小牧は珈琲を淹れながらリビングへと戻ってきた。
「ごめん……」
「家出って、何かあったの?」
「家出ってわけじゃないんだけど」
でも今乾先輩と会ったら何話をしていいか分からなくて、それに一緒の空間にいるだけで緊張してしまう。
だから乾先輩が起きるよりも早くこっそりと出てきてしまった。
「でも起きて深桜いなかったら乾さんもびっくりするんじゃない?連絡だけでしたら?」
「そうなんだけど、避けてるって思われたくなくて」
「……」
はいどうぞ、と私の目の前に珈琲を置いた小牧にお礼を言うとそれを受け取った。
なんか色々衝撃的過ぎてまだ頭が回らないでいる。
信じられない、彼が私を好きなんて。
「で、何があったの?キスされた?」
「キッ……何で知って!」
「えー、やっぱりー!」
ゴシップ好きの小牧は嬉しそうに両手を合わせた。