エリート上司に翻弄されてます!
3分も経たないうちに彼はここまで降りてきた。
風呂にも入っていなかったのか、彼はスーツ姿のままだった。
「どういうこと?」
「この女が酔い潰れただけです」
「飲んでたの?2人で?」
「全部悪いのはこの女です」
俺は何もしていない、そう主張すると彼の視線が彼女へと移る。
やっとお役御免だろうか。
「いつから知ってた」
「結構前から」
「……」
「言っときますけど誰かに言うとかそういうことはしないんで。今回散々な目に遭いましたから。もう2度と関わりたくない」
こいつらに振り回されるのはもう勘弁だ、と俺はお手上げ状態だった。
乾さんは彼女のことを背中に背負うと俺に軽く頭を下げた。
「悪かったな、ここまで」
「一緒に住んでるんならちゃんと躾けてもらえますか?」
「はは、躾されてるのは俺の方だったりしてな……」
「は?」
彼は自分の肩で眠る彼女の顔を優しげな表情で見つめた。
すると彼女の目元にあった泣き跡に気が付いたようだった。